兼岩研究室(人工知能とセマンティックWeb)


(Japanese/English)

人工知能の基礎研究(最も根本的な人工知能の基礎をやってます)

人工知能(AI)とは,人間のような知的な情報処理を可能にするコンピュータを開発する研究分野です.人間は,どのように知的な情報処理をしているのでしょうか?人間は,脳を使って,人や環境から知識を得て知的な活動を行っています.さらに,人間はこれまでにない新しい知識を生み出したり発見したりもします. 兼岩 憲教授は,(富士通(株)に三年勤務後,大学院を修了して),国立情報学研究所(文部科学省),情報通信研究機構(総務省)で,約十年間,人工知能における知識表現と推論の理論的研究に従事しており,その後,岩手大学に三年在籍し電気通信大学に赴任しました. 本研究室では,知的な情報処理に不可欠な「知識」を扱っています.人工知能を実現するために,その知識に関わる以下の基礎研究を行っています.

  1. どうやって知識を獲得するか
  2. コンピュータ上で知識をどう表現するか
  3. 知識からどのように推論・学習するか

まず,「知識の獲得」は,外部から入手された情報から意味がある知識をどのようにコンピュータが見いだすかを研究します.次に「知識の表現」は,獲得した知識をコンピュータ上でどのように表すかを研究します.これはデータベースの研究にも関連します.最後に「知識からの推論・学習」は,獲得して表現された知識から新たな事実を導いたり,法則性やパターンを学んだりする仕組みを研究します. 人工知能を研究してみたい学生は,ぜひ兼岩研へ来てください!


人工知能における知識表現と推論とは?

ロボットやコンピュータが知識を活用するための基礎研究に知識表現と推論があります.それは,知識の意味をどのように構造的に表現するか,どう表現すれば知識から未知の情報を導くことができるか,を探求します.

 事実(ファクト)「電通大の所在地は調布市です」

 背景知識:「電通大は大学である」
      「大学は国立大学である」
      「調布市は東京都にある」

 質問:「東京都にある国立大学は?」

人間は事実からこの質問に答えられます.しかし,コンピュータ(人工知能)は背景知識が無いと導くことができません.そのため,コンピュータが扱えるように事実と背景知識を記号で表し,さらにそれらから質問の答えを導く推論システムを研究しています.


人間の質問に答える学習型人工知能を目指そう!

人工知能は,どうやって人間の質問に答えることができるでしょうか?その答えとなる知識はどうやって学習するのでしょうか? 人間のように推論・学習するために,世の中に存在する膨大なデータを活用します.それにより,人間が得意とする意志決定,予測,認識などをコンピュータが代わりに行うことを目指します.

例えば,データから何が学習できるでしょうか?

・りんご,猫,哺乳類や飛行機のようなカテゴリの性質を認識する
・人の行動予測やおすすめ商品の推薦をする
・Wikipediaなどに不足している情報を推定して補完する

これにより,例えば,「赤くて丸い果物は何か?」「肺呼吸するイルカは哺乳類か?」「20代の好みの服は何か?」などの答えを人工知能が学習して答えを推定できるようになります.


人工知能は言葉の意味を理解できるのか

人間は現実世界の対象物(ものやこと)を概念化して,その意味を理解しています.概念(単語)の意味を知的なコンピュータが解釈するにはどうすればいいのでしょう? 一つの方法として,人間が解釈する概念には様々な性質や関係があり,それを体系化(オントロジー)します.

<例1>人間と教師の違い
人間(本質属性)は,存在する限り(死ぬまで)人間です.一方,教師(非本質属性)は,仕事を辞めたら教師でなくなります.
<例2>自動車と水の違い
自動車(sortal)は,その部分のタイヤやハンドルは自動車ではないです.一方,バケツの水から一部をコップですくっても水(non-sortal)です.

人間は文章を読んでその意味を理解し,逆に自分の意見を文章で表現します. コンピュータが文章を理解するには,どうすればいいでしょうか?そのためには文章の意味や内容を解析してその構造を表現する必要があります. そのように意味や内容を解読できるようになった表現から人工知能が推論・学習を行います.

Webと人工知能は互いに関連している!?

セマンティックWebは,単なるテキストではなく意味や内容を扱える未来のWebを実現します.言い換えれば,従来のドキュメント中心のWebからコンピュータ(人工知能)が意味や内容を解読して知的なWebを目指します.

兼岩研究室では,セマンティックWebのためのデータベースとクエリ言語であるFROSTを公開しています.グラフ構造データに対するクエリ言語SPARQLの検索エンジンをJavaで独自開発しています. SQLがテーブル型データベースであったのに対して,SPARQLは(Webデータや柔軟な知識表現と相性のよい)グラフ構造型データベースでありNoSQLの1つと言えます. この研究の成果や新規性は実験結果の数字で表れる分シビアな世界でもあり,ひたすら性能の向上をめざせばいいので研究の方向性に悩む必要はありません.


感情的な処理のためのあいまいな推論(ファジィ推論など)

コンピュータが結論を導くと「正しい」「間違い」の2択であり,エアコンなどを制御すると正確な数値(例えば,28度)でONとOFFを区別します.しかし,人間は,「全く正しい」「ほぼ正しい」「少し正しい」「どちらでもない」「少し間違い」「ほぼ間違い」「全く間違い」というようにあいまいで感覚的な判断をします.エアコンの制御も「暑い」「少し暑い」「ちょうどいい」「少し寒い」「寒い」といった感覚的な判断からONとOFFを決めます.

こうしたあいまいさは視覚的にも分かりやすいメンバーシップ関数を使って表します.例えば,自動車の速度を柔軟に表現できます.

高速(自動車)=0.4
中速(自動車)=0.1
低速(自動車)=0

このファジィ表現により,「自動車がやや高速ならば少し減速する」というような柔軟な推論や制御が可能となります.


その他のリンク

学域,大学院の講義資料


学生募集!

本研究室では,修士課程と博士課程の学生を募集しています.兼岩研究室に興味をもった方は遠慮無くご連絡ください.大学院では,社会人を対象にした入試制度(社会人入試)や長期履修制度も用意されています.


連絡先

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻

〒182-8585 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1 兼岩 憲(kaneiwa(at)uec.ac.jp)